
糖尿病内科
糖尿病内科
2型糖尿病は、次のような人に起こりやすいことがわかっています。
血糖値のコントロールだけが診療目的ではありません。血圧・脂質・体重のコントロールも行い、糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経障害および大血管症)を起こさないよう、また高度な病状に進めないよう、糖尿病のない人と変わらない寿命とQOLを確保することを最終目的とします。
・体重 BMI 25 kg/㎡以上の場合:5 %以上の減量
・血圧 診察室130/80 (家庭125/75)mmHg未満
・血糖 HbA1c 7.0 %未満
空腹時血糖 130 mg/dl未満
・脂質 LDL -C 120 mg/dl未満
早朝空腹時中性脂肪 150 mg/dl未満
HDL -C 40 mg/dl以上
また、併せて持っている他の病気の治療に対して、今の血糖コントロール状況が支障を与えないようにきっちりと治療しておくことも大切です。血糖コントロールが不良の場合、がんが発見されても、白内障の手術をすぐ受けたくても、血糖治療目的の入院が優先されてしまうことは少なくありません。
治療の三本柱は、食事療法・運動療法・薬物療法です。薬の治療を行う前段階の方だけでなく、飲み薬治療や注射治療中の方であっても、日常生活の中での食事療法と運動療法が大切になります。
食事療法は、炭水化物の摂取量を調整することから開始します。カロリー制限だけを気にして、食事量を減らすばかりでは、患者さんの好きなものが食べられず、治療継続が難しくなります。具体的には、ご飯・パン・めんなど糖質を含む炭水化物を特に夕食で制限すること、お菓子や果物などの間食を控えること、いも・かぼちゃ・せんべいなど味は甘くないけど糖質を含むものを食べ過ぎないことなどを勧めています。
運動療法は、まず、毎日ではなくても1日おきに20分以上歩くなど有酸素運動をしているか確認します。登山やゴルフなどのかなりの時間を歩く運動でも、週に1〜2回のみでは、治療効果が乏しくなってしまいます。具体的には、通勤や買い物などの外出時になるべく車を使わないこと、エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使うことなどによって歩く機会を増やし、1日おきに週4回以上は20分以上歩くことを勧めています。
ご自身でただ気をつけるだけでは十分な効果が現れない場合もあります。当院では医師、療養指導看護師、管理栄養士が、食事療法や運動療法の生活アドバイスをさせていただきます。
食事・運動療法だけでは血糖値が非常に高い場合、血糖値を下げる薬の治療を検討します。薬物療法では、患者さん個々の病状・病態や糖尿病の段階に合わせて、飲み薬や注射(GLP-1受容体作動薬およびインスリン)治療を行います。まずは患者さんのライフスタイルやご希望をお聞きしながら、治療を提案させていただきます。飲み薬が効かず、注射治療に進む場合であっても、可能ならば1日1回の注射や週1回の注射など、負担を感じることなく治療を強化できる方法を提案したいと考えています。
外来での自己注射導入や血糖自己測定を開始する際は、療養指導看護師が指導サポートいたします。
すい臓がインスリンをほとんど、またはまったく作ることができません。よって、インスリンを継続的に注射する必要があります。このため、以前は「インスリン依存型糖尿病」とも呼ばれていました。
糖尿病の患者さんのうち、1型糖尿病は10人に1人もいません。
若い方の糖尿病では1型糖尿病が多いですが、年齢に関係なく発症が見られます。
2型糖尿病と比較すれば圧倒的に若い年齢層で発症する方が多いです。ですから、進学、就職、結婚、月経、出産・妊娠などの生涯イベントの機会ごとに、治療方法や生活注意、心構え、配慮、サポート体制について、相談をします。
治療はインスリン強化療法(毎食前の超速効型インスリンと就寝前の持効型インスリン)が基本です。高血糖と低血糖を繰り返す不安定型もあり、血糖自己測定を参考にしたインスリン量の調整が大切です。
糖尿病の初期においては、健康診断などで尿に糖がでている、血糖値がやや高いと指摘はされることがあっても、そのころはまだ自覚症状のない方がほとんどです。
この状態を数年放置すると持続的な高血糖によって全身の血管が障害され、合併症による症状が出現することがあります。
おもに全身の細い血管が障害されて症状が起こります。いずれも初期には自覚症状がないため、定期的な検査が必要です。
三大合併症の中で最も早く出る症状です。手足のしびれや痛み、さらに悪化すると怪我や火傷の痛みに気づかないなど、手足の末梢神経障害の症状が出ます。
その他、筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、発汗異常、立ちくらみ等、様々な自律神経障害の症状も出ることがあります。
当院では、手足の痛みやしびれに対して、飲み薬による治療をしています。具体的には、神経障害性疼痛薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬などを用いて、症状が和らぐことを目指します。
網膜の血管が悪くなり、視力が弱まります。重症化すると失明する場合もあります。また、白内障になることも多いといわれています。
定期的な検査、また合併症を早期に発見し加療することで失明への進行を阻止する必要があります。
当院では、糖尿病と診断されたばかりの患者さんはもちろん、診断後に一度も眼科を受診したことがない患者さんにも、最寄りの眼科受診を勧めています。
尿検査での微量アルブミン尿あるいは蛋白尿、血液検査などで評価します。腎臓の糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、適切な治療をせずに進行すると、腎臓の機能が停止し(尿が作れなくなる)、腎不全の状態になります。人工透析になる原因の1位がこの糖尿病腎症です。
当院では、3ヶ月または6ヶ月に1回の頻度でアルブミン尿を測定し、腎症の重症度を判定しています。高血圧治療薬である ACE阻害薬やARB、非ステロイド型MR拮抗薬、糖尿病治療薬の中でも SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬に腎保護作用があると報告されており、当院でも必要に応じて使用しております。
脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、皮膚病、感染症、がん、認知症など。
当院では、心電図、胸部レントゲン、便潜血検査などを必要に応じて行います。