一般内科
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風邪(かぜ)とは、上気道(鼻やのど)が微生物に感染することによって起こります。原因微生物の約90% はウイルスが占めており、鼻や喉に感染がおこり炎症を起こします。症状は、鼻水・鼻づまり・のどの痛み・せき・発熱などで、原因の9割以上がウイルスによるものです。
風邪ウイルスの数は200種類以上といわれており、どのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。また、同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異します。このため、一度感染したウイルスに対抗する免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染するため、繰り返し風邪をひいてしまいます。
鼻、のど、気管、肺などからなる呼吸器は、常に吸い込んだ外気と触れているので、空気中にウイルスや細菌がいても侵入されて感染しないような防御システムが備わっています。その防御システムとは、のどの内壁の粘液で異物を付着し、繊毛運動によって外に出すシステムです。
粘液では、異物による感染から体を守る免疫防御機能が働いています。体が異物と戦っていると、異物を出そうとしてくしゃみ・鼻水・咳・たんが出たり、粘膜内部の組織に炎症が起こって腫れ、鼻づまりやのどの痛みにつながります。発熱は、異物の侵入により体に異変が起こったことを知らせると同時に、免疫の働きが活発になっているサインです。
風邪をしっかり治さないとその後、気管支炎や肺炎に進行する場合もありますので、治ったと思って無理をせず、しっかり完治するまで来院されることをおすすめします。熱を含めた症状の経過をしっかり観察することが大切です。
治療としては、症状に対応したお薬を処方します。
下の写真は、当院の風邪薬です。左から鼻水の薬(フェキソフェナジン)、のどの痛みの薬(トランサミン)、せきの薬(コルドリン)、たんの薬(アンブロキソール)、のどの痛みで希望者に処方するトローチ(SPトローチ)です。
一般に風邪の咳であれば、3週間も経てば必ずよくなります。それが、3週間経っても咳が一向に治まらず、回復の兆しもない場合は、風邪ではない病気の可能性があります。
3週間以上続く咳の疾患の内訳は、咳喘息が約4割、喘息が約3割で、両者を合わせると7割強を占めることになります。続いてアレルギー体質の人に起こる咳のアトピー咳嗽、COPD(シーオーピーディー)、かぜの後に咳だけが残る感染後咳嗽が比較的多く見られます。その他にも、非結核性抗酸菌症や結核、がんなど、様々な病気が潜んでいる可能性があるため、長引く咳は放置しないようにしましょう。
咳喘息とは、1カ月以上続く空咳を主な症状とし、喘鳴や呼吸困難は起きません。気管支喘息よりも症状は比較的軽いですが、激しい咳込みが起きることがあります。喘息の前段階と考えられ、放置していると3〜4割はぜんそくに移行していきます。咳が長引いている場合は、まずは咳喘息を疑い、本格的な喘息への移行を防ぐことが大切です。
治療としては、気道の過敏な状態が続いているため、通常の風邪薬は効きません。風邪と異なり、気管支拡張薬が効果を示します。この他,気管支喘息と同じく気道の炎症をおさえるために吸入ステロイド薬を使います。タバコ環境(自分あるいは同居の方など)にある人は禁煙が必要になります。
写真は、当院の気管支拡張薬です。左はステロイド成分が入った毎日1回の吸入器(レルベア)、右は毎日1回の吸入器を使っても症状が改善しない場合に使用する咳がひどい時だけの吸入器(メプチン)です。
アレルギーが原因で起こる咳が数週間以上も長引く状態で、喘息とは異なり、気管支拡張薬が効きにくいのが特徴です。
治療としては、抗アレルギー薬を使用します。
写真は、当院のアトピー咳嗽に対する飲み薬です。左3剤は抗ヒスタミン薬(ロラタジン、フェキソフェナジン、ルパフィン)、1番右は抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤(セレスタミン)です。
抗ヒスタミン薬については、ロラタジンよりもフェキソフェナジン、フェキソフェナジンよりもルパフィンの方が治療効果があります。
一方で、ロラタジンよりもフェキソフェナジン、フェキソフェナジンよりもルパフィンの方が副作用である眠気が強くなるため、患者さんの症状や御希望に応じて選択します。
気管支喘息では、気道に慢性的な炎症が起こり、気道が狭くなることで、喘鳴、咳、呼吸困難などの症状が現れます。アレルギーや感染症、運動、大気汚染などが誘因となります。
喘息には、「発作が起こらないように毎日行う治療」と「発作が起きた時に行う治療」の2つがあります。喘息では、気管支や肺の炎症により気道が狭くなっているため、症状が起こらないようにするには、慢性の気道の炎症をおさえることが重要です。基本の治療薬は、「吸入ステロイド薬」で、炎症をおさえる効果が高いです。最近は、この吸入ステロイド薬と、気道を広げ呼吸を楽にする長時間作用性β2刺激薬が一緒に吸入できる配合剤を使用します。
また、吸入ステロイド薬の配合剤などによる治療を毎日行うと同時に、症状のひき金となる刺激やアレルゲンを避けることも大切です。体調や室内の環境を整え、禁煙や十分な睡眠など生活習慣の改善や風邪をひかないよう心がけましょう。
治療として用いる長期管理薬(吸入ステロイド薬の配合剤)は、喘息症状がない状態でも継続して使用することが重要です。症状が落ち着いたからといって自己判断で中断すると、再発のリスクが高まります。
一方で、喘息発作が起きた時は、それをしずめることが最優先なので、狭くなった気道をすみやかに広げる短時間作用性吸入β2刺激薬などの発作を抑える薬を使います。
写真は、当院の気管支を広げる作用を持つ吸入薬と飲み薬です。1番左は長時間作用性β2刺激薬と吸入ステロイド薬の配合剤(レルベア)、左から2番目は短時間作用性吸入β2刺激薬(メプチン)、右から2番目はロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト)、1番右はテオフィリン製剤(テオロング)です。
レルベアは、毎日1回吸入する長期管理薬です。メプチンは、レルベアを使っても症状が改善しない場合に使用する発作止めの吸入薬です。モンテルカストは、アレルギー反応などに関わる体内物質ロイコトリエンの働きを抑えることで、気管支を広げ喘息による咳の発作を予防する飲み薬です。テオロングは、気管支の拡張や呼吸中枢の刺激作用などにより咳や息苦しさなどを改善する飲み薬です。
体内の鉄分が不足し、赤血球中のヘモグロビンが十分に作られなくなることで起こる貧血です。全身への酸素供給が不足するため、疲れやすい、めまい、動悸、息切れなどの症状が現れます。
治療としては、鉄剤のお薬を飲むことまたは鉄剤の静脈注射があります。
写真は、当院の鉄剤の飲み薬と注射薬です。左側のシートが飲み薬、右側のアンプルが注射薬です。
鉄剤の飲み薬は、吐き気の副作用があり、胃薬も同時に処方します。しかし、胃薬と一緒に飲んだとしても、吐き気のために鉄剤を飲みにくい患者さんが一定数いらっしゃいます。
当院では、鉄剤の飲み薬が飲めない患者さん向けに鉄剤の静脈注射を実施しています。2週間または4週間毎に注射を実施し、血液の濃さと貯蔵鉄の量を適宜測定しながら、注射の量を調整しています。
腎臓の機能低下によって起こる貧血です。腎臓は、赤血球の生成を促すホルモンであるエリスロポエチンを分泌していますが、腎臓の機能が低下すると、このエリスロポエチンの分泌が減少し、赤血球が十分に作られなくなるために貧血が起こります。
治療としては、体内のエリスロポエチン産生を促すお薬を飲むことまたはエリスロポエチン製剤の皮下注があります。
この写真は、当院の腎症貧血に対する注射と飲み薬の一覧です。左側は注射薬、右側は飲み薬です。
腎機能障害や貧血の程度によって、注射または飲み薬を選択しています。飲み薬が効く方は基本的に飲み薬を処方しますが、腎機能障害の程度が強いと、飲み薬では目標とする血液の濃さに達しないことがあります。その場合は、一番薄い30 μgの濃さから、2週間毎に当院で注射を実施し、血液の濃さなどを適宜測定しながら、注射の濃さを調整します。
甲状腺とは、のどぼとけのすぐ下にあり、大きさは縦4cm、重さが10〜15 kg前後。蝶が羽を広げたような形をしています。食物(主に海藻)に含まれているヨードを材料にして甲状腺ホルモンを合成し、分泌する機能があります。

甲状腺ホルモンは、全身の臓器に作用して代謝を司るなど大切な働きを持つホルモンです。バセドウ病は、この甲状腺ホルモンを過剰に産生する病気(甲状腺機能亢進症)の代表的な病気で、特に20~30代の女性に多く見られます。
バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)が甲状腺ろ胞細胞のTSH受容体を刺激することによって甲状腺ホルモンは分泌されています。バセドウ病は、このTSH受容体に対する抗体が体内で作られてTSH受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されることで起こる病気です。
バセドウ病の症状としては、代謝をつかさどる甲状腺ホルモンや、交感神経系のカテコールアミンが過剰になるため、典型的には、動悸、体重減少、指の震え、暑がり、汗かきなどが出現します。その他、疲れやすい、軟便・下痢、筋力低下、精神的なイライラや落ち着きのなさが生じることもあります。女性では生理が止まることがあります。

甲状腺は全体的に大きく腫れてきます。目がとび出たり目が完全に閉じないなど眼の症状が出ることもあります。
バセドウ病の薬物療法は、最も簡便で外来で治療が始められるため、多くの場合に抗甲状腺薬が第1選択となります。永続的な甲状腺機能低下症になることは滅多にありません。欠点として、副作用が出現しうること、治療効果に個人差が大きく、一旦寛解(症状が一時的にでても消えたり、安定して薬を中止できること)しても再発率が高いことなどが挙げられます。
写真は、当院の抗甲状腺薬(メルカゾール)です。
メルカゾールの副作用としては、無顆粒球症が重要です。無顆粒球症になると、細菌等に感染しやすくなり、肺炎や敗血症などの重症感染症を起こし、生命の危険に曝される場合があるためです。無顆粒球症とは、血液中の白血球の成分のうち顆粒球(特に好中球)が減少し、ほとんどなくなる病気です。初期症状として、かぜや扁桃腺炎のときと同様な発熱や喉の痛み、全身のけん怠感(だるさ)などがあります。
無顆粒球症はメルカゾールを飲み始めて2ヶ月間に多く発症することが知られています。そのため、飲み始めの2ヶ月間は原則として2週ごとに血液検査を行いますので必ず受診が必要です。2ヶ月を過ぎても定期的に血液検査を行い、副作用の有無について確認を行います。無顆粒球症以外の副作用は、肝機能障害、かゆみ・皮疹、関節痛などがあります。
甲状腺とは、のどぼとけのすぐ下にあり、大きさは縦4cm、重さが10〜15 kg前後。蝶が羽を広げたような形をしています。食物(主に海藻)に含まれているヨードを材料にして甲状腺ホルモンを合成し、分泌する機能があります。

甲状腺ホルモンは、心臓や肝臓、腎臓、脳など全身の臓器に作用して代謝を盛んにするなど、大切な作用を持つホルモンです。橋本病(慢性甲状腺炎)は、この甲状腺ホルモンが少なくなる病気(甲状腺機能低下症)の代表的な疾患です。特に30~40代の女性に発症することが多い病気です。
橋本病(慢性甲状腺炎)は自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。橋本病では、免疫の異常によって甲状腺に慢性的に炎症が生じていることから、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。この慢性炎症によって甲状腺組織が少しずつ壊され、甲状腺ホルモンが作られにくくなると、甲状腺機能低下症が生じます。
橋本病の症状としては、甲状腺が腫れてきて、首の圧迫感や違和感が生じることがあります。甲状腺機能低下症になると、全身の代謝が低下することによって、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などが生じます。女性では月経過多になることがあります。

うつ病や認知症と間違われることもあります。血液検査では、コレステロール高値や肝機能異常を認めることがあります。
橋本病で甲状腺機能低下を伴う場合、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が10µU/ml以上や、高コレステロール血症を伴う場合などでは、合成T4製剤の内服します
写真は、当院の甲状腺ホルモン剤(チラージン)です。
チラーヂンの副作用の中で起こりやすいのは動悸や手の震えです。これはチラーヂンの服用によって補充した結果、甲状腺ホルモンの作用が強く出てしまうことによって起こります。また、狭心症という重大な副作用も報告されています。その他の副作用としては、肝機能が悪くなることがあります。
2017年10月に発行された『慢性便秘症診療ガイドライン2017』(日本消化器病学会関連研究会、慢性便秘の診断・治療研究会編)は、便秘を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。また、便秘は疾患名や症状名ではなく、排便回数や排便量が少なく糞便が大腸内にたまった状態、直腸内にある糞便を快適に排出できない状態を指す名称であり、便秘症は便秘による症状が現れて検査や治療が必要になる状態と説明しています。便秘を放置すると、痔、大腸がん、腸閉塞などの合併症を引き起こす可能性があります。
便秘とともに、次の症状がある方は、大腸がんなどの重大な疾患が潜んでいる可能性があります。
当院では、上記の症状も認めた場合、重大な疾患が潜んでいるか調べるため、次の検査を行います。
重大な病気が潜んでいる可能性が高い場合は、高次病院への紹介を検討します。可能性が低い場合は、保存的治療」を行います。まずは普段の生活を見直すことで、具体的には、食物繊維(野菜や海藻)の摂取、水分補給、適度な運動、規則正しい排便習慣(毎朝のトイレ)、乳酸菌などのプロバイオティクス(体によい影響を及ぼす微生物や、それらを含む食品のこと)の摂取などが挙げられます。
生活習慣の改善でも便秘が改善しない場合、飲み薬を処方します。市販薬でも便秘薬は手に入りますが、刺激性下剤という種類が多く、連用することにより薬剤の耐性が出てきてしまうことにより効果が減弱し、十分な効果が得られなくなるケースも少なくないため、患者さんそれぞれに適した治療を選択し直すことが必要です。
マグネシウムは、水を引き付ける性質を有しています。これにより便が水分を多く含むようになり、柔らかくなります。その作用機序から、水分が少なく、便が固くなっているタイプに特に効果的です。
腸は筋肉で出来ており、規則的な収縮運動をすることで、食べ物や便を肛門側に運んでいます。こうした腸の動きのことを「蠕動(ぜんどう)運動と呼びます。センノシドは、この蠕動運動を活発にします 。
腸管内の水分分泌には、クロライドイオンが関与しています。アミティーザは、小腸上皮にあるクロライドチャネルというクロライドイオンの出入りを調節するものを選択的に活性化することで、腸管内への水分分泌を促進し、便を柔らかくして、腸管内輸送を高めることで排便を促す薬です。
写真は、当院の下剤です。左は酸化マグネシウム、真ん中はアミティーザ、右はセンノシドです。
下剤のため、共通して薬が効きすぎることによる下痢があります。
センノシドには、腹痛もあります。腸の蠕動運動が激しすぎると、それにともないお腹が痛くなるためです。薬の用量が多いなど、効きすぎが原因です。
アミティーザには、吐き気もあります。空腹時に飲むと、吐き気の副作用が出現しやすいため、食後に飲むことが勧められています。
体内の水分が異常に増加し、皮下組織に溜まった状態をを指します。一般的には「むくみ」と呼ばれ、手足や顔などが腫れぼったく感じられます。
動脈から身体の各組織中ににじみ出た水分は、役目を終えた後、通常は静脈やリンパ管に戻ります。しかし、何らかの原因で静脈やリンパ管に回収されにくくなると、たまった水分に皮膚が押されて膨らんだような状態になり、むくみが起こります。
むくみが起こりやすい身体の部位としては、まぶた、顔面、腕や手指、下肢(下腿や足部)などがあります。また身体の表面からは見えませんが、喉頭(のど)にむくみが生じることもあります。
日常生活上の軽度のむくみは、年齢や性別を問わずしばしばみられる症状ですが、筋肉量や運動機会の少ない女性や高齢者、月経中、冷え性、食塩を多く摂る食習慣のある人、アルコール摂取後などで特に起こりやすい傾向があります。
むくみは大きく「全身性」(むくみが全身にみられる)と「局所性」(身体の限られた場所にみられる)に分けられ、それぞれに原因となる病気があります。原因となっている病気の治療を行うことで、むくみの症状が改善していくことも少なくありません。また、薬剤(消炎鎮痛薬や一部の降圧剤など)の影響でむくみが起こることもあります。
原因となっている病気の治療をします。
1)心不全:心機能の低下に伴う体循環のうっ滞により、四肢末梢を中心にむくみが現れます。むくみ以外に、呼吸困難、血圧低下または上昇、頻脈、呼吸困難が出現します。利尿剤で治療します。
写真は、当院の利尿剤です。左と真ん中はフロセミド、右はスピロノラクトンです。
フロセミドはループ利尿薬と呼ばれ、ヘンレループに作用して水分とナトリウムを排出しますが、同時にカリウムも失われやすいのが特徴です。そのため、フロセミドの副作用として、低カリウム血症があります。また、即効性が必要な場合はフロセミドが使用されます。
スピロノラクトンはカリウム保持性利尿薬と呼ばれ、遠位尿細管に作用しアルドステロンをブロックします。そして、ナトリウムを排出してカリウムの排泄を抑制されるのが特徴です。そのため、フロセミドの副作用として、高カリウム血症があります。
2)腎不全:腎機能の低下に伴う体液過剰により、全身性のむくみが現れます。むくみ以外に、貧血、高血圧、体重増加、尿量の低下が出現します。塩分やたんぱく質の制限が必要となり、糖尿病・高血圧症などの原因になっている病気の治療もします。
3)肝硬変:肝臓の機能低下により、血中のアルブミンが低下し、腹水により腹部膨満になることもあります。むくみ以外に、黄疸、体重増加、低アルブミン血症が出現します。節酒など原因になっている肝臓の病気の治療を行います。
4)ネフローゼ症候群:尿中にアルブミンを含むタンパクが失われることにより、むくみが強くなる状態です。むくみ以外に、たんぱく尿、高コレステロール血症、体重増加、低アルブミン血症が出現します。当院では、腎臓内科へ紹介しています。
5)甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの作用不足に伴う代謝低下によりむくみが現れます。むくみ以外に、徐脈、皮膚の乾燥、食欲不振、体重増加、疲れやすい、寒がり、前頸部の腫れが出現します。甲状腺ホルモン剤の飲み薬で治療します。
6)薬剤性浮腫:薬の中にはその副作用でむくみが生じるものがあります。代表的なものは副腎皮質ステロイド、非ステロイド抗炎症剤、カルシウム拮抗剤(高血圧の薬)、ピオグリタゾン(糖尿病の薬)などです。治療としては、原因として疑われる薬剤を変更または中止します。
7)低栄養:食事が十分にとれない場合、または腸や腎臓からタンパクがもれてしまう病気では血中のアルブミン値が低下します。すると膠質浸透圧が下がり血管の外に水分が漏れやすくなります。治療としては、栄養管理を行います。
1)下肢静脈瘤:足の静脈がこぶのように膨らむ病気で、静脈の弁の働きが壊れて血液が逆流することが原因です。足がだるいとか重い、つりやすいなどの症状があります。当院では血管外科へ紹介します。
2)深部静脈血栓症:足の静脈が血栓でつまってしまう病気です。片方の足全体が急に赤く腫れます。病気やけがで寝ている時や長時間乗り物に乗っている時などに起きやすいといわれています。血栓が足の静脈から飛んで肺の血管につまる肺塞栓症(一般にはエコノミー症候群とよばれています)の原因となる可能性があり、その場合命にかかわることもあります。治療は血液を固まりにくくする薬を使います。
3)蜂窩織炎:細菌が足に入ることにより炎症を起こし腫れた状態です。けがや巻き爪、水虫などから菌が入る場合もあります。赤く腫れ熱を持ち痛みを伴います。治療は抗生物質を使用します。
4)腫瘍:腹部や骨盤内の腫瘍により静脈やリンパの流れが妨げられることにより足が腫れることもあります。通常片方の足が腫れます。当院では、CT検査ができる病院へ紹介します。
不眠症とは、睡眠の問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感や集中力低下などの不調を引き起こす状態です。不眠症には、寝つきが悪い入眠障害、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒などの症状があります。
治療の必要性がある場合に、睡眠衛生指導から加療を始めます。睡眠衛生指導に関しては、下の表(睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン)に示した内容を指導し、不眠症状の改善の有無を評価します。

睡眠衛生指導による改善に乏しく、薬物療法が必要と判断された場合、入眠障害と中途覚醒、それぞれまたは両方に効くお薬を処方します。当院で処方できる睡眠薬の種類としては、①ベンゾジアゼピン系睡眠薬、②非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、③オレキシン受容体拮抗薬があります。
脳内の神経伝達に関わるベンゾジアゼピン(BZD)受容体は、GABAの受容体(抑制性の神経伝達物質として働く)と複合体を形成していて、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、このBZD受容体に作用することでBZD受容体を刺激し、主にGABAの神経伝達を亢進することで催眠・鎮静作用をあらわします。
ベンゾジアゼピン睡眠薬は、効果が持続する時間の短い順に、超短時間型(2〜4時間)、短時間型(6〜10時間)、中間型(20〜24時間)などに分類されます。これらの作用時間による違いから、超短時間型と短時間型は、入眠障害の改善効果があります。一方で、中時間型は、中途覚醒の改善作用があります。
下の写真は、当院のベンゾジアゼピン系睡眠薬で、左から1番目は超短時間型(トリアゾラム)、左から2番目は短時間型(ブロチゾラム)、左から3番目は中時間型(フルニトラゼパム)です。

GABAという「脳のブレーキ役」の神経伝達物質がGABA-A受容体に結びつくと、神経の高ぶりがおさまり、気持ちが落ち着いたり、眠くなったりします。GABA-A受容体には複数のタイプ(サブタイプ)があり、なかでも「ω1受容体」と呼ばれるものは、主に睡眠(鎮静・催眠)に関わるとされています。一方、「ω2受容体」は、抗不安・筋弛緩・抗けいれんといった作用に関わるとされます。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ω1とω2の両方に働くため、眠気だけでなく、不安をやわらげる作用や、筋肉をゆるめる作用も幅広く生じます。一方で、「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」は、睡眠に関わるω1受容体に選択的に結びつき、眠気を増強しつつ、筋弛緩によるふらつきが比較的起こりにくいという特徴があります。
下の写真は、当院の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(マイスリー)です。

脳の覚醒を促進する神経伝達物質「オレキシン」の受容体を阻害することで、脳を睡眠状態へ移行させ睡眠障害(不眠症)を改善する薬です。この作用機序から、入眠障害にも中途覚醒にも改善効果があります。
2026年9月、日本人研究者の柳沢正史・筑波大学教授らがアルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞しました。評価されたのは、上記の「オレキシン」の研究で、柳沢教授らがオレキシンを発見しました。
下の写真は、当院のオレキシン受容体拮抗薬(ボルズィ、ベルソムラ)です。ボルズィは効く時間が短いために入眠障害、ベルソムラは効く時間が長いため中途覚醒の患者さんに処方します。

膀胱炎は大腸菌などの細菌が尿道口から侵入し、膀胱の表面の粘膜に感染することが原因で起こる感染症です。感染すると、何度もトイレに行きたくなったり、おしっこをする時に痛みが起こったり、尿が濁ったりする症状がでます。
ほとんどは細菌感染で起こる急性の膀胱炎で、3人に1人は一生のうちに一度はかかるという報告もあるほど身近な疾患です。体の構造の違いから女性がかかりやすいことも特徴です。
膀胱炎にはいくつか種類があります。最も多いのが、膀胱や尿道にもともと病気がない人の膀胱に細菌が入り、炎症を起こす「急性単純性膀胱炎」です。
原因となる細菌は大腸菌が最も多く、排便などで体外に出た後に、何らかの原因で肛門から尿道へ侵入して感染します。急性単純性膀胱炎は女性がかかりやすい疾患ですが、その理由には、以下のような体の構造が関係しています。

膀胱炎のきっかけは、生活の中にいくつも潜んでいます。特に以下のような場合に膀胱炎にかかりやすくなります。 ・性交渉:急性単純性膀胱炎は、20~40代の女性が性交渉でかかることが多いのが特徴。尿道口と腟が近くにあるため、性交渉によって細菌が尿道に入りやすく、炎症を起こしやすい。
膀胱炎では炎症によって様々な症状が現れます。膀胱炎の代表的な徴候とは、1)頻尿・残尿感 2)排尿痛 3)尿の濁り・血尿 の3つです。
その他にも、尿の中に細菌が繁殖するため、通常より尿のにおいが強くなることもあります。

膀胱炎では発熱することはありませんが、膀胱炎の症状に加えて発熱や悪寒などがある場合は、膀胱の上の腎臓にまで細菌が感染し、腎盂腎炎を引き起こしている可能性があり、注意が必要です。腎盂とは腎臓でできた尿が集まる腎臓内の部屋のこと。病気の連鎖反応を防ぐためにも、膀胱炎の症状が出たらすぐに病院を受診するようにしましょう。
膀胱炎が疑われる症状が現れたら、まずは医院を受診して検査を受けることが大切です。急性単純性膀胱炎と診断されると、膀胱を無菌状態にする抗菌剤が処方されます。これを飲むと、症状は3~5日ほどで和らぎます。

写真は、当院の抗菌剤です。副作用として、下痢があるため、必要に応じて整腸剤を処方します。
様々な原因によって脳の機能が低下し、記憶・思考・判断などの認知機能が損なわれることで、日常生活や社会生活に支障をきたす病気です。単なる物忘れとは異なり脳の病気によるものです。
認知症とよく似た状態(うつ、せん妄)や、認知症の状態を引き起こす体の病気も様々あるため(甲状腺機能低下症など)、早期に適切な診断を受けることが大切です。
認知症の予防については、イギリス医学誌ランセットの専門家委員会が2024年夏に公表した報告書が注目されています。難聴や喫煙、社会的孤立など14項目のリスク要因を取り除くことで、45%の人は認知症を予防、または進行を遅らせる可能性があると報告されました。
写真は、2025年9月21日の朝日新聞朝刊25面に掲載された、認知症のリスク要因14項目とその要因によって生じる認知症の割合についてまとめた表です。
中年期のリスク要因である高LDLコレステロールとは、いわゆる悪玉コレステロール高い状態で、放置すれば動脈硬化を進めます。動脈硬化は、心臓だけでなく脳の血管にも影響し、血流低下や微小な脳梗塞を通じて認知機能の低下につながります。
また、糖尿病は血管や神経に影響を与える病気で、認知症との関連が指摘されています。さらに、高血圧は脳血管に負担をかけ、脳血管障害や認知機能低下と関連することが知られています。
当院は、糖尿病専門医および総合内科専門医の院長が糖尿病・高血圧・脂質異常症(高LDLコレステロール)などの生活習慣病の治療に注力しているため、お困りの方は相談いただければ幸いです。
また、帯状疱疹ワクチンにも、認知症の発症予防効果も報告されています。2024年7月にNature Medicineで発表された米国の研究では、ゾスタバックス(米国で2020年に販売が中止された生ワクチン)接種者と、シングリックス(日本で定期接種されている不活化ワクチン)接種者で、いずれも65歳以上、それぞれ約10万人を対象に、6年以内に認知症と診断された割合を比較しました。その結果は、
というもので、これはシングリックスに含まれるAS-01というアジュバントの免疫活性が、ウイルスの神経炎症を抑制することで、脳を保護する効果があるためと考えられています。
当院では、50歳以上の方を対象に、生ワクチンでも不活化ワクチンでも帯状疱疹ワクチンを接種可能です。予約なしで当日に接種できますので、御希望の方は相談いただければ幸いです。

長い年月をかけて脳内にたまったアミロイドβ等の異常なたんぱく質により神経細胞が破壊され、脳に萎縮が起こるアルツハイマー病が原因となり発症する認知症です。初期では、昔のことはよく覚えていますが、最近のことは忘れてしまいます。徐々に進行し、やがて時間や場所の感覚がなくなっていったり、状況に応じた判断が困難になったりします。
脳梗塞や脳出血によって一部の神経細胞に十分な栄養や酸素がいき渡らなくなる脳血管障害が原因となり発症する認知症です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な危険因子です。脳血管障害が起こるたびに段階的に進行します。また、障害を受けた部位によって症状が異なります。
「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質が脳内を中心に蓄積しながら、神経細胞が破壊されるレビー小体病が原因となり発症する認知症です。現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり筋肉が固くなったりといった症状が現れます。歩幅が小刻みになり、転びやすくなります。
脳の前頭葉や側頭葉で、神経細胞が減少して脳が萎縮する前頭側頭葉変性症が原因となって発症する認知症です。感情の抑制がきかなかったり、社会のルールを守れなくなったりなどが起こります。
認知症の治療としては、認知機能の低下を遅らせる薬や、症状を緩和する薬を処方します。下の写真は、当院で院内処方できる薬です。

介護サービスとして、訪問介護、デイサービス、グループホームなどが挙げられます。
介護サービスを受けるには、介護認定を受けるため、主治医意見書の作成が必要になります。主治医意見書は、当院でもかかりつけ患者さんを中心に多数の作成実績があります。
過敏性腸症候群(IBS)とは、特に消化器の疾患がないにも関わらず、腹痛と便秘、または下痢を慢性的に繰り返す病気です。腸管の運動が異常に亢進し、刺激への反応が過敏になることで引き起こされると考えられています。
主な原因は、ストレス、不安、抑うつ、恐怖などの心理的要因や自律神経の失調とされています。社会の複雑化やストレスの増加に伴い、症状に悩む人が増えており、次の4つのタイプに分類されます。
6ヵ月以上前から症状があり、最近3ヵ月間に週1回ほどのペースで腹痛があり、次のうち2つ以上が当てはまる場合、過敏性腸症候群と診断されます。
過敏性腸症候群の治療では、①生活習慣の改善、②食事療法、③薬物療法が挙げられます。
下の写真は、下痢型の過敏性腸症候群の方に、当院で院内処方している薬です。腸のセロトニン受容体の働きを抑え、ストレスなどによる腸の過剰な動きや痛み(内臓知覚過敏)を和らげる作用があります。

イリボーのよくある副作用として、便秘、硬便、腹部膨満感があります。
頭の筋肉や首の筋肉が緊張し、血行が悪くなることで起こる頭痛です。締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが特徴で、頭全体や後頭部、首筋に現れることが多いです。痛みの強さは軽度から中等度で、吐き気や光・音過敏を伴うことは少ないです。
原因として、精神的なストレスや身体的なストレスが、筋肉の緊張を引き起こすと考えられています。また、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による姿勢の悪さ(ストレートネック)も、首や肩の筋肉の緊張を招き、緊張型頭痛の原因となります。睡眠不足・運動不足・不規則な生活なども、緊張型頭痛を引き起こす可能性があります。
治療としては、ストレッチ・適度な運動・十分な睡眠、ストレス解消などの生活習慣の改善に取り組み、改善がなければ鎮痛薬や筋弛緩薬などのお薬を処方します。
下の写真は、当院の鎮痛剤と筋弛緩薬(エペリゾン)です。腎機能障害や胃の病気の方には、ロキソニンとジクロフェナクを使用できず、アセトアミノフェンを使用します。

熱中症の診断基準は、「暑熱環境に居る、または居た後」の症状として、めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、強い口渇感、筋肉痛、こむら返り、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、などの諸症状を呈するもので、感染症などによる中枢性高体温など、他の原因疾患を「除外」したものです。ただし、この「除外」は、他の原因疾患に熱中症が合併していることを否定するものではありません。
2026年7月31日に朝日新聞の17面に掲載された下の表のように、日本救急医学会が刊行した「熱中症診療ガイドライン2024」の重症度分類において、重症度の2度は、医療機関での診察が必要と記載されています。2度の症状は、「頭が痛い」、「吐いている」、「だるい」などです。
熱中症では、本人が重症化に気づきにくいといわれています。日本医科大学などが開発したアプリは、簡単な質問に答えることで重症度を判定できます。熱中症判定アプリは下のQRコードから確認できます。

地球温暖化の影響により世界各地で熱波が発生して、我が国でも年々最高気温の記録が更新されており、厚生労働省の人口動態統計(確定数)によると、熱中症の死亡者数は毎年1000人を超える状況が続いており、改善傾向にはありません。
総務省消防庁の全数調査によると、2023年の全国の熱中症搬送者数は91,467人です。年齢区分別では、高齢者(満65歳以上)が最も多く、次いで成人(満18歳以上満65歳未満、少年(満7歳以上満18歳未満) 、乳幼児(生後28日以上満7歳未満)の順となっており、発生場所別の救急搬送人員をみると、住居が最も多く、次いで道路、公衆(屋外)、仕事場(道路工事現場、工場、作業所等)の順となっています。
熱中症では、「暑熱障害」と「脱水」に応じた治療が必要です。当院では、クーラーがきいた涼しい部屋のベッド上で、生理食塩水(写真右)と吐き気止め(写真左)入りの点滴が可能です。

外仕事で休みなく働き頭痛やだるさで苦しい方、室内にいてもクーラーを使わずめまいや立ちくらみが出ている方など、熱中症が心配な方は、点滴治療が可能な当院へご相談ください。
心臓は、全身に血液を届けるポンプのはたらきをしています。全身から集められた血液は肺に送られ、二酸化炭素と酸素が交換されて心臓に戻り、全身に送られます。

心不全とは、心臓のポンプ機能がうまくはたらかなくなった状態のことです。左心室のポンプ機能が弱くなると、肺に水がたまる肺うっ血(左心不全)が起こります。また、右心室のポンプ機能が弱くなると、全身に水がたまって足のむくみ(右心不全)が起こります。

心不全は初期にはほとんど症状はありません。心臓のポンプ機能が低下すると、血液が身体の中にたまることで、次のような症状が出てきます。

心臓のポンプ機能は加齢や心臓の病気などが原因で徐々に低下していきます。原因となる病気は、下の図のように様々ですが、最終的に行きつくのが心不全です。

心臓の病気がある人が過労になったり、薬の飲み方が不規則だったり、水分・塩分の摂り過ぎであったり、血圧の上昇や風邪を引いたりすると 、「急性 心不全 」を 発 症します 。 急性心不全の症状から回復 した後の状態を「慢性心不全」といいます。 治療によって症状が回復しても心臓のはたらきは発症前の状態に戻ることはなく 、 状態が悪化していきます。

当院では、心臓の状態を確認するため、下記の検査を実施します。


当院の心電図検査には、数分で終わる安静時心電図の他、24時間測定するホルター心電図があります。

当院の血液検査では、NT-proBNPを測定します。NT-proBNPとは、心筋が強い負荷を受けたときに分泌されるホルモンです。NT-proBNPを測定すると、下の図のように、心臓の健康度を推定できます。

慢 性心不全は 、水分 ・ 塩分制限 、血圧管 理 、 体重管理や禁煙など、患者さん自身の日々の取り組みが悪化を防ぐ重要な要素となります。
慢性心不全は、心臓を守る働きのある薬による治療が基本です。 また、水分を排出させる作用のある薬などを併用することもあります。写真は、当院で院内処方できる薬です。
⑴心臓を守る働きがある薬





⑵水分を排出させる作用のある薬
ループ利尿薬は、ヘンレループに作用して水分とナトリウムを排出し、利尿効果を発揮します。足のむくみなどに対し、即効性が必要な場合に使用されます。

心房細動は、社会の超高齢化とともに爆発的に増えている不整脈の1つです。そして、不整脈とは、正常な脈以外のすべての脈のことです。
正常な脈は、右心房にある「洞結節」と呼ばれる部位から出る電気信号により始まります。これが心房と心室に伝わり、それぞれが一対一で規則正しく収縮する状態が正常な脈です。このような正常な脈以外の状態をすべて不整脈と呼びます。
心臓内で原因不明の異常な興奮が起き、心房が細かく動く不整脈を心房細動といい、脈拍が完全に不規則になるのが特徴です。

心房細動の問題点は大きく分けて①心不全、②脳梗塞、③動悸の症状の三つです。
①心不全
心房細動が続くと、心臓のポンプ機能がうまく働かなくなり、心不全になります。心不全の結果、肺や胸の中、足などに水分がたまり、息苦しさやむくみが生じます。このような症状は生活の質を下げるだけでなく、突然死などの原因になります。
②脳梗塞
心房細動では、心房が細かく震えることで血液によどみが生じ、血の塊(血栓)ができます。この血栓は、心房の中に留まっている限り何も悪さはしませんが、ひとたび血液の流れに乗って脳の血管に詰まると、脳梗塞を起こします。
③動悸の症状
心房細動になると脈が速くなり、動悸として症状を感じる人が増えます。動悸がすると多くは不安になり生活に支障をきたします。ただし、症状がない心房細動も多く、健康診断で初めて見つかる人も多いです。
心房細動の治療として、⑴生活習慣の改善、⑵抗凝固薬による脳梗塞の予防が挙げられます。
⑴生活習慣の改善
高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、喫煙、飲酒などが心房細動の原因と考えられています。これらに問題があるようであれば、生活習慣を改善することで心房細動を予防できることがあります。
⑵抗凝固薬による脳梗塞の予防
心房の中にできる血のかたまり(血栓)が脳梗塞の原因ですので、血液をサラサラにする抗凝固薬を処方します。とくに心不全、高血圧、高齢、糖尿病、脳梗塞経験者など、1つでも当てはまる方は脳梗塞のリスクが高いため、抗凝固薬が必要とされています。
下の写真は、当院で院内処方している抗凝固薬です。

動悸の症状がある方、心房細動の“もと”をカテーテルで焼いてしまう治療(カテーテルアブレーション)をご希望の方は、埼玉県立循環器・呼吸器病センターなどの循環器内科へ紹介します。
逆流性食道炎とは、胃液や胃液と混ざった食べ物が食道に逆流することで、食道の粘膜が傷つけられてしまう(炎症が起こる)病気です。食道の粘膜は胃酸に弱く、胃酸にさらされると食道は炎症を起こしやすくなります。食道に起きた炎症のことを食道炎と言います。胃液の逆流により生じる食道炎ですから、「逆流性食道炎」という病名がつけられています。


逆流性食道炎には、次のような症状が挙げられます。
・脂っこいものや辛いものを食べた後、お酒を飲んだ後などに表れる
・チリチリと焼けるように痛む
・みぞおちのあたりが急にカーッと熱くなる
・喉や口の中に酸っぱいものや苦いものがこみ上がってくる
・酸味のあるものを食べたり、飲んだりしていないのに、口の中に酸っぱさを感じる。
その他の症状として、慢性の咳(肺や心臓に異常がないのに咳が続く)などがあります。
逆流性食道炎を引き起こす主な原因は以下の3つになります。
食道と胃のつなぎめにあたる下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)の筋力の低下が挙げられます。通常は、下部食道括約筋が胃液の逆流を防いでいるのですが、食事をすると、通常は閉じている胃の「噴門(ふんもん)」が開き、胃へと食物が送られます。下部食道括約筋が加齢によってゆるむと、胃の中のものが簡単に食道に戻ってきてしまいます。
若い人に逆流性食道炎が起こる原因の1つは、「便秘」によって腹圧が高まることです。お腹が張っている時、胃は腸からの圧迫を受け、食道への逆流が起こりやすい状況になるのです。
脂肪分の多い食事をすると、十二指腸からコレシストキニンというホルモンが分泌され、下部食道括約筋がゆるんだり、胃酸が増えたりします。これは、脂肪がほかの栄養素に比べて消化に負担がかかるからです。そのため、脂肪分の多い食事を好む人にも、逆流性食道炎が起こりやすくなります。
治療は、生活習慣の修正と飲み薬による治療です。日常生活の中では次の2つを心がけましょう。
高脂肪食を避け、食事の量は腹八分目とし、ゆっくり噛んで食べる習慣をつけましょう。また、寝る3~4時間前に夕食を済ませることも大切です。
猫背や前かがみの姿勢はお腹を圧迫して、胃を押すような体勢になりやすいので注意が必要です。日ごろから意識して背すじを伸ばすようにしましょう。
飲み薬による治療では、胃酸を中和したり、食道の粘膜を保護して修復したりします。下の写真は、当院で院内処方できる治療薬です。

腎臓は背中側の腰骨の上のあたり、腸の後ろに左右に1個ずつあります。腎臓の中には、ネフロンという尿を作る装置があり、ネフロンは尿を作る装置(糸球体)と、尿に不要なものを捨てたり、捨てられた有用物を尿から取り戻したりする装置(尿細管)に分けられます。
腎臓に流れる血液は、糸球体に入り、血圧によって血液中の水分が濾しだされます。続く尿細管では、血液から更に老廃物が捨てられ(分泌)、原尿の大部分の水分が再吸収されて血液に戻りますが、体に不要な老廃物がたくさん残り、尿となります。尿はここから尿管を通って排出されます。

また、腎臓は、適量の水分や電解質(塩分、ミネラル)を排泄し、身体全体としてのバランスを保ちます。身体の水分や電解質を調節し、血圧をコントロールします。
さらに、腎臓は、ホルモンを分泌します。①ビタミンDを活性化し、カルシウムが骨に吸収されるのを助けます。②血圧の維持に重要なレニンを生産し、分泌をします。③骨髄で作られる赤血球の生産を刺激するホルモン(エリスロポエチン)を産生し、分泌します。

慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の働き(GFR)が健康な人の60%未満に低下する(GFRが60mL/分/1.73㎡未満)か、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を言います。

腎臓の機能を表す指標として、血清クレアチニン値をもとに糸球体濾過量を推定した推算GFR(eGFR)が用いられます。GFRは糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示す値です。
健康な人では、GFRは100mL/分/1.73㎡前後ですが、たんぱく尿などの腎障害がなくとも、60mL/分/1.73㎡未満が持続していればCKDと診断されます。
さらにGFRが低下するとCKDの重症度(病期)が進み、透析や心臓病などの心血管疾患の危険が高まります。末期腎不全(15mL/分/1.73㎡)では透析治療などの準備が必要になります。

しかし、GFRが90mL/分/1.73㎡以上であっても、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙習慣などのCKDになりやすい危険因子を持っている人はハイリスク群であり、注意が必要です。
また、年をとると腎機能は低下していきますから、高齢者になるほどCKDが多くなります。さらに、肥満やメタボリックシンドローム、腎臓病、家族に腎臓病の人がいる場合は要注意です。

CKDは、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になっています。つまり、腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにもつながります。
CKDの治療の目的は、透析が必要な末期腎不全への進行を遅らせることと、心血管疾患になるのを防ぐことです。そのためにも、まず生活習慣の改善が重要です。肥満の是正や減塩を心がけ、たばこを吸っている人は禁煙に努めてください。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人は、医療機関を受診してきちんと治療をしておくことが大切です。当院では、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の治療に注力しておりますので、CKDでお悩みの方はご相談ください。
私たちの体では、耳・眼・筋肉などから情報が脳に送られ統合されます。そして、脳で統合された情報が首や手足などの筋肉に正確に伝わることにより、体のバランスを正常に保っています。これらの情報に異常やくい違いが起こるとバランスがくずれ、めまいが起こります。


小脳や脳幹は体のバランスを保つ働きをしています。脳や全身の病気によって、小脳や脳幹に送られる血液量が不安定になったり不足したり、小脳や脳幹が圧迫されてもめまいが起こります。めまいの原因となる全身や脳の病気には、以下のとおりです。


実際の現場では、全身や脳の病気の頻度は低く、耳や心因性の病気の頻度が高いです。後述する「良性発作性頭位めまい症」は、めまいを引き起こす耳の病気の中でも最も多い病気です。うつ病・不安障害など心因性の病気では、気分の落ち込み・不安・不眠・食欲の異常・集中力低下などに加えて、めまいや耳鳴りも起こります。
めまいには、ぐるぐる回るような回転性めまい、立ちくらみやふらつきのような非回転性めまいがあります。

良性発作性頭位めまい症は、じっとしているときは起こりませんが、病名に「頭位(とうい)」とついているように、頭を動かしたときに特定の位置で回転性めまいが起こるのが特徴です。1回の発作は通常1分以内で治まりますが、再び頭を動かすと目が回るのを繰り返します。通常、耳鳴りや難聴はありません。
良性発作性頭位めまい症の原因は、「耳石(じせき)」と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶です。高齢などで耳石が剥がれ落ち、半規管のいずれかに入り込むと、中で耳石が動くことでリンパ液の流動が起こり、その刺激でめまいが引き起こされます。本来、体が回転したときに起こるはずのリンパ流動が少し頭を動かしただけで起こってしまい、回転したような刺激の情報が誤って脳に伝わってしまうのです。

当院では、まず、血圧を測定して脳や心臓の病気・出血などの緊急性が高い病気の可能性がないか確認します。次に、迅速血液検査で貧血、安静時の心電図で不整脈などがないかを確認します。これらに異常がなければ、耳や心因性の病気を想定した治療をします。
めまいが起こったときには、めまい以外に吐き気や嘔吐などを伴う場合があります。下の写真は、当院で院内処方できる薬です。左のベタヒスチンメシルはめまい和らげる薬です。右のガナトンは吐き気を和らげる薬です。

のどは、呼吸や食べ物の入り口として細菌やウイルスにさらされやすい部位です。そのため、粘膜によって保護され、異物の侵入を防ぐ防御機能が備わっています。ウイルスや細菌が侵入すると、免疫反応の一環として粘膜に炎症が起こります。炎症によって神経が刺激されることで、のどに痛みや違和感が生じます。
また、空気が乾燥すると、のどの粘膜も乾燥して、繊毛の動きが低下するなど、防御機能が弱まることがあります。その結果、異物を排除しにくくなり、感染や炎症が起こりやすくなります。
軽いのどの痛みなどで「そのうち治るだろう」と対処せずに放っておくと、炎症がひろがって、つばを飲み込むのもつらくなるほど悪化してしまうことがあります。のどに膿(うみ)があるとき、声がかれたまま改善しないとき、たんに血が混じるとき、38度を超える発熱を伴うときは、のどに強い炎症が起こっている可能性があり、受診をお勧めします。
肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきたほこり、煙、風邪のウイルスなどの異物を気道から取り除こうとする生体防御反応が咳(せき)です。異物が入り込むと、まず咽頭や気管、気管支など気道の粘膜表面にあるセンサー(咳受容体)が感じ取ります。その刺激が脳にある咳中枢に伝わると、横隔膜や肋間膜などの呼吸筋(呼吸をおこなう筋肉)に指令が送られ、咳(せき)が起こります。この反射運動を「咳反射」といいます。
咳(せき)にはまた、気道にたまった「たん」を外に排出する役割もあります。気道粘膜には細かい毛(繊毛)と、その表面を覆う粘液があり、粘膜の表面を潤して保護しています。この粘液がウイルスや細菌などの病原体やほこりなどの異物をからめ取ったものがたんです。気道に炎症があるとたんが増え、粘り気が強くなります。たんは、外にむかって異物を追い出そうとする繊毛の運動と、咳反射によって外に出されます。
咳(せき)は生体防衛反応ですが、のどを痛めたり体力の消耗につながることがあります。2週間以上も咳(せき)が続いている場合やたんに血液が混ざっている場合などは、呼吸器の病気が考えられます。特に基礎疾患のある方・高齢者は早めの受診をお勧めします。